不登校も取り締まり? 奈良県のとんでもない条例案
不登校が「不良行為」として取締りの対象となる? こんな条例案が奈良県議会に提案され、不登校関係者をはじめ、弁護士や教員、女性団体から反対の声があがっています。
問題となっているのは、仮称「奈良県少年補導条例」(案)。少年非行が「依然として深刻な状況」にあるとして、少年(19歳以下)の「非行防止」と「健全育成」を目的に、不良行為少年の「早期発見」のためと称して、現行法では罪にならない行為を「不良行為」として列挙し、規制を加えようとしています。
「不良行為」とされているのは、「みだりに異性の身体に触れ」る行為など男女交際の問題や、「正当な理由がなく、義務教育諸学校を欠席」すること、「正当な理由がなく深夜徘徊(はいかい)する」ことなど。「不良行為」を発見した県民には、その少年に注意をしたり、警察等に通報する努力義務を課しています。
当初の案では、「正当な理由がなく、学校を休み、又は早退若しくは遅刻をする」ことを「不良行為」と定義していましたが、「いわゆる不登校の生徒一般が補導の対象となるものではないとの趣旨を明確にするため」「義務教育諸学校」に限定し、徘徊をしたり、生活の本拠を離れて遊技や遊興するなどの語句が加えられたもののが、不登校の子どもが補導されるのではないかとの懸念は消えていません。
現に、フリースクールやフリースペースに通う子どもたちが、駅前や街頭で警官に補導され、交番や警察署に同行(連行?)され、スタッフが迎えに行くというようなことは過去にひんぱんに起きていますし、今日でも決してまれではありません。
また、「当該少年にその行為を止めさせるため必要な注意、助言又は指導を行う」よう努めよとの努力義務が一般人に課されると、平日の日中など、通常多くの子どもが学校に行っている時間に外出している子どもに対して、「その行為を止めさせるため必要な注意、助言又は指導」として、学校に行くよう声がかけられることにもなります。
奈良県内では、弁護士会が、「少年の保護育成の手段は、権力的な規制に頼るのではなく、学校や、児童相談所をはじめとする福祉機関、地域社会等による包み込み」などを「手段とすべきことは世界的潮流」とする、条例案に反対する会長声明を出し、県議会各会派にも反対するよう呼びかけました。
また、県教職員組合や女性団体など5団体が「同条例を考える会」を結成し、同条例案を県議会に提出しないよう申し入れたほか、反対のシンポジウムを開催。ふきのとうの会(不登校・ひきこもりを考える親たちの会)やフリースペースSAKIWAI、奈良県登校拒否を克服する会など、不登校関係団体も、条例案への反対を表明しています。
東京シューレ代表・奥地圭子さん 不登校一般が対象ではないということを示すために「正当な理由なく」をつけたということだが、誰が、どう判断するのか? 先日、東京シューレの小学4年の子が11時ごろ、駅で補導されて警察に連れて行かれ、警察から「お宅の生徒か?」と確認の電話があった。このようなことは、シューレを作った80年代によくあったが、復活する気配で心配だ。
鳥取タンポポの会代表・医師 森英俊さん 子どもの成長支援にとって大切なことは「不良少年に対する補導権限」の条例化や警察権限の拡大ではない。子どもの意見表明を受けとめ、子ども自身が一人の人間として、家庭でも社会でも、人間としての尊厳を守られることが何より重要。学校教育が今の子どもたちに合わなくなって、歪んできたため、学校に背を向ける子どもたちが増えてきた。子どもたちの置かれている状況をよく理解し、規制や威嚇ではなく、一人ひとりの子どもに合った教育を用意していく必要がある。
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「奈良県少年補導に関する条例(案)」(抜粋) |
第2条の4
この条例において「不良行為」とは、次に掲げる少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある行為(刑罰法令に触れるものは除く。)をいう。
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(1)のオ 放置すれば暴行、脅迫、器物破損その他の刑罰法令に触れる暴力的な行為に発展するおそれのある粗暴な言動をする行為
(1)のケ みだりに異性の身体に触れ、又は異性につきまとい、その他の他人に性的な不安を覚えさせるような行為
(3)のス 正当な理由がなく、義務教育諸学校を欠席し、又は早退し、若しくは遅刻して、徘徊をし、又は生活の本拠を離れて遊技若しくは遊興をする行為 |
第4条(県民の責務)
県民(少年を除く。)は、不良行為少年を発見したときは、当該少年にその行為を止めさせるため必要な注意、助言又は指導を行うとともに、必要に応じ、保護者、学校の管理者又は職員、警察職員その他少年の保護に関する職務を行う者に通報するよう務めるものとする。
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関係団体の声明等
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[2006/03/19更新]
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